2023年2月15日(水)

▼世界保健機関(WHO)がスマートフォンなどによる「ゲーム依存」をアルコールやギャンブルと同じ「依存症」に認定したのは令和元年5月。専門家は「理性などをつかさどる前頭葉の働きが低下する可能性がある」と警告した

▼本紙政経懇話会2月例会で「思いやりの心を育むには~知育アプリからスマホ依存まで」の題で講演したスマホ依存防止学会(PISA)の磯村毅代表が「前頭前野の働きが鈍くなり、思いやりの心を持ったり、欲求に対する我慢ができなくなるなどの影響が出る」。「可能性」の言葉が消えた

▼前頭葉への影響はこの4年間で確定的になったということだろう。四年間、影響を受け続けていたということでもあろう。コロナ禍に伴うリモート授業はともかく、コンピューターゲームeスポーツがスポーツとして認められた。依存症への環境は悪化している

▼「子どものネット依存は大人のギャンブル依存よりも深刻」と磯村氏。「危険」とも。ギャンブル依存症は、カジノで100億円以上負けた大王製紙会長が世間を驚かせたし、周囲に大きな負債を親戚中からの借金で精算し、しばらくしてまた繰り返して新築の家を売却し離婚したケースが複数ある。それより深刻、危険とは何か

▼具体的には、前頭葉への取り返しのつかないダメージということなのだろう。人間も環境や生活習慣の違いで精神も肉体も大きく変化する。外見は同じだが中身は宇宙人というSFドラマは英国製『謎の円盤UFO』(日本放映昭和45年)以来定番だが、他のSF同様、現実になりつつあるのかもしれない。