▼県立高の40代教諭が生徒から「さる」と呼ばれたことに腹を立て脇腹をつねった行為について、県教委は「体罰は児童生徒の心身に深刻な悪影響を与える。このような行為は決して許されない」と文書訓告にした
▼大山鳴動してネズミ数匹ではないが、仰々しく行為を非難する割に、訓告という懲戒処分にならない対応にはいつもながらちぐはぐさを感じるが、あだ名をいじめの一類型とみなして校則で禁止し、名前を「さん」を付けて呼ぶよう定める小学校が増えて賛否の議論が起きている
▼きっかけは文部科学省のいじめの定義。「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」にあだ名は当てはまるケースが多い。同省調査でいじめ認知件数は増加傾向だが、うち「冷やかしやからかいなど」が多くを占め、あだ名が該当することもまた多い
▼子どもはあだ名を付ける天才だが無邪気、悪意のない分、残酷でもある。あだ名で児童生徒間で暴力的争いになったことも中高時代、しばしば見聞した。教師に失礼極まるあだ名をつけておもしろがったのも小学校より中高で「ラッキョウ」「じじい」など、面と向かって呼んだ記憶はないが、秀逸なだけにさぞ傷つけたろうといまさらながら冷汗三斗
▼「絶対いけないことだと分かっていながら」やってしまったと問題教諭。我を忘れてしまったということだろう。「事案の共有や研修などを通じ、体罰の根絶に取り組む」と県教委。あだ名にどう向き合うかも生徒、教諭ともに研修課題だろう。