白狐一対、雪峰稲荷へ奉納 伊勢一刀彫職人の太田さん 三重

【寺田会長(左)に一刀彫の白狐を手渡す太田さん=伊勢市桜木町の雪峰稲荷で】

【伊勢】三重県伊勢市小俣町の伊勢一刀彫職人、太田結衣さん(34)が27日、同市桜木町の雪峰稲荷から譲り受けたクスノキを使って彫り上げた白狐(びゃっこ)一対を同神社に奉納した。

神社の社が建て替えられれる時(平成29年建立)に境内の木々が手入れされ、地元の人から伐採した木を使ってもいいと聞いた太田さんはクスノキ数本を譲り受け、「神社に納めるものを作りたい」と、神の使いとして知られる白狐を彫ることにした。

木を乾燥させた後、デザインを考えて昨年春から彫り始めた。直径約40センチ、長さ約50センチのクスノキを半分に割って優しい表情で座る雄と雌の白狐を制作。「神様に奉納するので頂いた木をそのまま使おう」と、黒いシミや節、割れも隠さずに使って着彩もせず、表面保護のためにクルミ油を塗って仕上げた。

完成した作品は縦21センチ、横17センチ。奉納後は全体像が見えなくなるため、太田さんが所属する東海3県の若手女性職人グループ「凛九」が7―9月に四日市市で開催した作品展に展示し、来場者に間近で見てもらったという。

この日は同神社で、桜木町自治会の寺田彰会長(81)が太田さんから白狐を受け取り、社の中に納めた。

太田さんは「頂いた木で白狐を彫り、お返しできたのでうれしいしありがたい」、寺田会長は「一刀彫の作品を奉納してもらうのは初めて。これからも雪峰稲荷を守っていきたい」と話した。