2023年1月28日(土)

▼飲食店で一般男性とトラブルになった知人の仲裁に入り、相手にけがをさせたとして30代の男性巡査部長が本部長訓戒を受けた。泥酔状態で、駆けつけた警察官に〝保護された〟というからどんな「仲裁」だったか分かる気がするが、公務員にとって「訓戒」は「本部長」という物々しい飾りがついていても法に定める懲戒処分ではない。「叱りおく」程度だ

▼思い出すのは県の59歳の次長級が近鉄名古屋駅のホームで酔って駅員に暴行し、駆けつけた愛知県警の警察官に〝逮捕され〟勾留された平成30年の事件だ。〝保護〟とは違うから氏名、役職は公表され、免職の次に重い停職の懲戒処分(1カ月)となり、退職した

▼首をつかんで絞め、別の男性駅員の頭をたたいたなど、犯行態様も詳しく発表。巡査部長の今回のケースとはかなり違う。愛知県警は酒の上での公務員の暴力行為に厳しく、三重県警は寛容、ということでもない気がする

▼昨年12月には酒に酔って暴れる男性を取り押さえる際に暴行してけがをさせたと、この時は巡査部長が減給の懲戒処分を受けている。平成16年には四日市市のショッピングセンターで、どろぼうと間違われた68歳の男性が、客や警察官に制圧された後死亡した。遺族らが警察官の度を超えた対応を問題にして訴訟を起こし、名古屋高裁は3600万円の支払いを命じた

▼警察官2人に両腕を抱えられて身動きできなくなった経験者として、酒の勢いで負わせたという「けが」の状態に身震いを感じながら、県警が身内に下す処分というものについて、考えてみた。