2023年1月27日(金)

▼在宅介護の悩みのタネの一つ、臭い問題対策で、使用済み紙おむつは新聞紙にくるんで袋に入れて密封し捨てる方法を、介護ジャーナリストが推奨していた。何かでくるむ、のではなく、新聞紙で、である。昔、靴の下敷きに新聞紙を敷いていたことを思い出した。消臭効果が抜群だった

▼靴を靴箱に入れる時、新聞紙を詰めていたのは、湿気取りとの二重効果か。思えば子どものころは古新聞をあちこちで見た。八百屋さんなどでは新聞紙を切った束が天井からつるされ、野菜をくるんだ。学校の大掃除で窓ガラスを拭くのは新聞紙。家で畳を掃く前に濡らした新聞紙をちぎってまいてからホウキをかけた

▼細かな汚れが取りやすく、インクの油分が水をはじいてツヤを出す。曇りにくくするとも言われた。今は窓ふきは布が用いられ、和風建築の衰退とともに掃除機万能の時代になった。窓の溝に古新聞を詰めて結露を防いだり、タンスの底や畳の下に新聞紙を敷いて湿気を防止するなどはほとんど見かけなくなったのではないか

▼窓ふきに新聞紙が適しているのは繊維の細かさのためで、同じ理由で食油や廃油の吸収材に用いられた。石油ストーブの季節。こぼした石油を拭き取るのに新聞紙の右にでるすぐれものはないが、すでに「おばあちゃんの知恵」になっているのかもしれない

▼新聞紙で商品をくるむ習慣から包装紙、紙袋を経てレジ袋となり、レジ袋廃止とともに、むき出しで渡されるようになった。古新聞がもう少し見直されていい。むろん、新聞の活用法というのではなく、一番有効、効果的素材として―。