伊勢新聞

2023年1月26日(木)

▼物価高騰対策として県が発行した「みえ生活衛生サービスクーポン」の申し込みが募集枠に達しなかった。理由が「周知が足りなかった」という説明は、物価高騰にあえぐ県民には何ともやるせない

▼理美容室、クリーニング店、公衆浴場などの最大半額分割引になる500円券二枚つづりで68万セット用意したが、期限までに約半数の37万セットの申し込みしかなく、期限を延長して約28万セットを受け付けたが、約3万セット、3千万円分が残った

▼「物価が高騰しても、ゆとりのある生活をしてほしいとの思いで配る」と言ったのは一見勝之知事。残った分は未執行額として来年度に繰り越されて「有効に使う手だてを考えたい」(総務部)。有効には使えなかったということであり、有効に使う手だてが拙かったということだろう。「ゆとりのある生活」はできたかどうか

▼2月末までが利用期間だが、二次募集分のクーポンが届くのは2月中旬という。担当の医療保健部の「65万には達したが」というが「ゆとりのある生活をしてほしいとの思い」の趣旨とはほど遠い。本来の申し込み期限でも、利用期間の短さが指摘されていたという

▼利用店を3500と想定し、実際は約半数の1700程度。この種のビジネスモデルが始まった半世紀ほど前は、致命的か失敗理由にあげられていた。失敗するべくして失敗したと言えなくはないが、失敗は成功のもと、とも。懲りずに生活支援策を練り直してもらいたい

▼対象店はコロナ禍の影響が深刻な業界。せめて現金化遅延の懸念だけはいらぬ心配にして。