三重県が物価高騰の影響を受けた県民を支援するために発行している「みえ生活衛生サービスクーポン」の申し込みが募集の上限に達しなかったことが24日、県への取材で分かった。用意したクーポンのうち、約3千万円分が余った。県は「周知が足りなかった」と説明。使える店舗の少なさや利用期間の短さも影響したとみている。
県によると、クーポンは無料で発行。理美容室や公衆浴場、クリーニング店の代金が最大で半額になる。500円分の割引券を2枚つづりで1セットとし、1人当たり最大4セットの申し込みを可能とした。
県は68万セットを用意し、先月5日から同24日まで県のホームページや郵送を通じて申し込みを受け付けたが、実際に申し込みがあったのは約37万セット。想定の半数程度にとどまった。
このため、先月26日から今月13日まで2次募集を実施。新たに約28万セットの申し込みがあったが、それでも約3万セットが余った。利用期限が近づいているため、3次募集は実施しない。
一方、県はクーポンを使用できる店舗を最大で3500と想定したが、実際には約半数の1700程度にとどまった。店舗からはクーポンが現金化されるまでの期間を懸念する声が上がっていたという。
また、県民からは利用期間の短さを指摘する声もあった。クーポンの利用期限は2月28日だが、県民にクーポンが届いたのは1月上旬ごろ。2次募集の申し込み分は2月中旬ごろ届く予定という。
予算額は事務の委託費を含めて約8億円。昨年10月の一般会計補正予算に計上し、財源は国の交付金だった。発行しないクーポンの割引分に当たる約3千万円分の予算は来年度に繰り越される見通し。
事業を担当した医療保健部は「65万には達したが、用意した全てを発行することはできなかった。周知不足だった」と説明。総務部は残った予算について「有効に使う手だてを考えたい」としている。