▼来年度当初予算案編成のための「知事査定ヒアリング」で、いよいよ人口減少対策計画が報告された。昨年の年頭あいさつで一見勝之知事が「人口減少対策元年」と提唱してから翌年度末になってようやく青写真がお目見えした
▼その間、岸田文雄首相が今年の年頭会見で「異次元の少子化対策」発言。「元年」「異次元」―ともに先人の二番煎じに似て、思いもまた―
▼県の人口減少対策計画は「結婚につながる出会いを促す『みえの出逢い支援事業』。内訳は「新たに結婚を希望する人らを引き合わせる『結婚応援サポーター』養成」「マッチングアプリをはじめとする婚活サービス」「安全利用の啓発」
▼また「妊産婦や子育て家庭の相談拠点整備」「市町への支援員配置支援」「若者へのオンライン就職支援」。―いずれも聞いた覚えのあるものばかり。時代がいく回りか、逆に回った感がある。いろいろ試みたが、目立った効果もないので、この際知事の「最重要課題」に便乗して、まとめて化粧直しして繰り出そうということかもしれない
▼ひところ市町の先行に真っ向批判していた未就学児の医療費無料化を、一転織り込んだのも県らしい。子育て家庭対象の子育て支援、子どもの育ちに焦点を当てた子育ち支援は平成20年のこども局設置で議論されている。男女の出会い支援も一時は鳴り物入りで実施していたが、立ち消えになっていたか。成果報告はしばらく聞かない
▼少子高齢化は社会全体の変革で妙薬はない。何はともあれ継続こそ力だが、この言葉も、半世紀ほど前は県の不動のスローガンだった。