▼大相撲初場所は連日大入り満員で、久々に最高位の大関貴景勝が優勝して沸いたが、県勢にとってはめでたくもなしの場所ではなかったか。元横綱三重ノ海の石山五郎さんが10年務めた相撲博物館館長を退任することになり、現役の千代の国、志摩の海も十両陥落後、活躍ぶりはいま一つ
▼アマチュアでは実家「竹内餅店」(志摩市)所属の竹内宏晟さんが昨年の全国選抜大学・実業団刈谷大会個人戦で優勝。年末の全日本選手権大会では三重代表としてベスト8に残って気を吐いたが、高校の相撲部は2校だけで、低調に歯止めがかからないらしい
▼昔、県議会の視察に同行して、国体の県相撲選手団を激励するのに立ち会ったことがある。明大レスリング部出身の岩名秀樹、相撲選手として活躍した加藤栄(いずれも故人)らがハッパをかけ、選手らも力強く、きびきびと応じていた。強豪三重の話を聞かされたものだ
▼かつて10チーム存在した高校相撲も今、宇治山田商と明野の2校。うち1校は3学年6人で、存続が危ぶまれている。とこわか国体要員として教員採用された新潟県出身の佐藤崇教諭が相撲部員の掘り起こしに知恵を絞っているという
▼竹内選手も、県開催国体を最後の舞台にしようと県にUターンし、かつて所属した志摩市の志友館相撲道場で稽古して、団体と個人両方の優勝をめざした。昨年9月の全国選抜大学・実業団相撲刈谷大会個人戦優勝は、調整の成功を意味しよう
▼とこわか国体の中止は彼ら選手の夢を奪ったが、すそ野の拡大をおろそかにし、付け焼き刃での天皇杯狙いを裏付けている。