伊勢新聞

被告2人に懲役15年求刑 伊賀の男性殺害、遺体遺棄事件 三重・津地裁

令和2年10月、三重県伊賀市島ケ原の職業不詳宇都宮秀之さん=当時(46)=を殺害し、遺体を遺棄したとして殺人と死体遺棄などの罪に問われた伊賀市服部町、配達員廣岡陸斗被告(29)と、韓国籍で住所不定、無職張誠根被告(43)の裁判員裁判は20日、津地裁(四宮知彦裁判長)で論告求刑公判があり、検察側は2人に懲役15年を求刑して結審した。判決は30日に言い渡される。

検察側は論告で、「集団で敢行した計画的犯行で殺害の可能性が極めて高く悪質。残虐な犯行態様で被害者が絶命するまでに感じた苦痛や恐怖は察するに余りある」と指摘。共犯者の指示に従いながらも「実行役として重要な役割を果たした」とし、それぞれ別罪で起訴されている詐欺と非現住建造物放火についても「量刑上無視できない重みを持つ」とした。一方で、自白により積極的に真相解明に協力するなど有利に考慮すべき点もあるとした。

弁護側は最終弁論で、廣岡被告について「共犯者の指示通りに実行した従属的な立場に過ぎない。違法行為の大麻栽培に加担させ、日常的にいわれのない借金や暴力で抑圧するなど被害者にも落ち度はあり、精神的に追い込まれていた」として寛大な処分を求めた。

また張被告についても、「直接的な動機はなく、廣岡被告の境遇に自身の境遇を重ねて同情心から無報酬で協力依頼を引き受けた。当日の数時間前に計画を聞かされるなど従属的な立場にあった」とし、「懲役10年が相当」と主張した。

起訴状などによると、両被告は別の共犯者と共謀して令和2年10月5日、伊賀市内で宇都宮さんの頭部を木製バットで複数回殴打して死亡させ、遺体を津市美杉町の山中に運んで遺棄したとされる。