伊勢新聞

2023年1月20日(金)

▼県議会第1回定例会開会の冒頭で、一見勝之知事は「県民の命を守ることが最大の使命」だとして「県民生活が新型コロナウイルスや物価高騰の影響を受ける中、県の諸課題にしっかり対応する。まずは子どもの施策を充実させる。着実に成果を上げる」

▼具体的なことは17日から始まった知事査定の結果待ちだが、この時の知事も「県民の命を守ることが大事」とし、半導体分野をはじめとする産業振興の重要性も強調。「三重を躍進させる実行予算と位置付ける」

▼「実行」とわざわざ付け加えるのが一見流。「実行しない」予算を編成することは理論上あり得ないが、一見知事の言動は不実行予算というものがあるかの錯覚を起こさせる

▼当然のことでも、あえて断りを入れなければスルーしかねないのだ。例えばコロナ禍で、当日感染者が過去最多を更新しても知事が県民の前に出てきて、事態を説明しようとはしない

▼17日は死者が過去最多の21人を記録しても、知事は音無しの構え。それで「県民の命を守ることが最大の使命」と言ったりするから戸惑うが、知事にとって「命を守る」とは南海トラフなど自然災害などを想定し、コロナで何人死のうが、自分の最大の使命を損なってしまったなどとは思いもしないのだろう

▼第8波で感染者数が増え重症化率が下がり、県のコロナ対策本部と報道陣とは毎日の説明はやめるという話になったそうだ。その後、最多感染更新でも最多死者数でも何の説明もなくなった。仕事は多忙を極めているだろうが、何のために多忙かの大義は考えてもいないに違いない。