伊勢新聞

郵便局が空き家調査 玉城町で全国初の取り組み 三重

【事前に行われた実証実験でタブレット端末を使って調査する郵便局社員=玉城町で(日本郵便提供)】

【度会郡】日本郵便に委託して空き家を調査する事業が三重県玉城町でこのほど始まった。地域に密着した郵便局のネットワークを生かし、集配業務を担当する郵便局社員が空き家の現状を確認してデータ化した情報を基に、町は増加傾向にある空き家の有効活用につなげていく。日本郵便によると全国初の取り組み。

平成30年の国の調査によると、同町の空き家率(住宅総数に占める空き家の割合)は9・6%。県の15・2%を下回っているものの、今後も増える可能性があるとして町は昨年度、空き家バンクを開設。リフォームや清掃、引っ越しの費用を補助する制度を設けるなど、空き家に関する問題解消に向けて取り組んできたが、現時点で空き家バンクへの登録は1件もないという。

空き家調査も令和3年度から自治会に依頼して実施。紙の地図で管理され、写真もなく現状が分からないため、精度面に課題があった。そこで、町と包括連携協定を締結している日本郵便に委託し、地域課題解決のために両者で取り組みを進めることにした。

自治会から情報を得た空き家約300軒を対象に、松阪郵便局玉城集配センターの社員が、町から貸与された腕章や身分証を身に付け、集配業務の合間を縫って調査する。専用のタブレット端末を使って空き家を撮影し、建物の傾斜やごみの放置、雑草の手入れの有無など7項目を入力。町はデータ化された情報を利用し、空き家バンクへの登録などにつなげる。調査は3月15日まで。

町役場で今月11日に開始式があり、町や日本郵便の関係者らが出席。辻村修一町長が調査を担当する郵便局社員に腕章やタブレット端末などを手渡した。

【空き家調査を担当する郵便局社員にタブレット端末や腕章などを手渡す辻村町長(右)=玉城町役場で】

辻村町長は「詳しく調査することで空き家の施策を前進させ、住環境を整えていきたい」、日本郵便の高橋文昭常務執行役員は「郵便局のネットワークの強みを生かし、地方公共団体の課題解決の役に立てれば」と話した。