【鈴鹿】三重県鈴鹿市岸岡町の井上千代子さん(90)は13日、同市役所市民ギャラリーで卒寿記念の初個展「生かされて90年 千代子の絵手紙展」を開き、これまでに家族や絵手紙仲間に宛てた絵手紙など約1000点を展示した。15日まで。
井上さんは70歳のころ、テレビで絵手紙のことを知り、興味を持った。
その後、絵手紙がきっかけで知り合った女性と絵手紙交流を続けたり、同市白子町の明峯堂絵手紙教室に通い始め、教室の仲間同士で送り合って親交を深めてきた。当時は離れて暮らしていた長男にも、日常生活の感動を近況報告として送っていたという。
会場には季節の花や野菜など身近な絵とともに、家族の健康を気遣う絵手紙、納豆容器のふたやマッチ箱などを活用したアイデア型の絵手紙、闘病中に届いた仲間からのお見舞い絵手紙など、自身の人生を支えた交流の軌跡をたどる作品の数々が並ぶ。
井上さんは1月1日に90歳の誕生日を迎えた。「心の奥底の気持を素直に表現できるのが絵手紙の魅力。展示を通じて、みんなに支えられて今があるという感謝の気持を伝えるとともに、これからも心の赴くまま、書き続けていきたい」と笑顔を見せた。
講師の荒木万里さん(59)は「人生を乗り越えてきた井上さんの力強さや、前向きで好奇心旺盛な人柄が作品から伝わってくる」と話した。