伊勢新聞

2023年1月10日(火)

▼国民の祝日を月曜日に移すハッピーマンデー制度ができて以来、三連休への喜びが薄れた。何の日なのかの関心もなくなって、成人式の報道に、そうかと気づいたりする。今年の成人の日は九日。20歳祝う各地の式典が、前日に多く行われていても特に感慨もない

▼成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、鈴鹿市は式典の名称を「20歳のつどい」に変えた。伊賀市は、この日とは別に3月に19歳、5月に18歳対象の式を開き、来年からは18歳対象の式のみを5月に開く。記念日と祝日がますます遠ざかっていく

▼伊賀市の岡本栄市長はビデオメッセージの参加だった。荒れる成人式の名残か、コロナ禍での新たな参加方式か。鳥羽市では有志が式典をユーチューブで発信した。離島や国内外に散った同級生らもリアルに近い形で再会できる。中学校の恩師がビデオメッセージを寄せたそうだ

▼コロナ禍でリモートでの会合が増えた。とともに、対面でのコミュニケーションの大切さが強調されている。リアルとバーチャルを対立した概念で捉えることは意味のない時代になっていくのではないか。どう補完し合うかの問題である

▼リモートが要点を伝え合うのに適し、効率よく運べることに異論のある向きはいまい。半面、衝突や激論は難しくなっている。衝突や激論の大切さを否定する向きもまた、いまい。18歳の成人式では、学校にいるのと同じ感覚で、友人にあっても新鮮味がない、5月の式典では振り袖が暑い

▼意味がありそうもないところに意味を見いだすのも人間には必要な〝遊び〟である。