▼県警は30代男性巡査部長の二人をそれぞれ本部長注意処分にした。一人は、私用車で出勤途中に事故を起こして申告せず現場を立ち去ろうとし、道交法違反(事故不申告)の疑いで書類送検された。もう一人は、正当な理由なく知人の車にGPS装置を取り付けた
▼どちらも行政処分で、いわゆる履歴に残る懲戒処分ではない。何の処分もしないというわけにはいかない、のニュアンスがある。事故不申告は事例が積み重ねられてきた違法行為で書類送検されたが、GPS装置の取り付けの方はどう処理されたのか
▼GPSを裁判所の令状なしに捜査に利用するのは違法、という最高裁判決が出たのは平成29年3月。警察庁は使用を控えるよう全国の警察に通達している。一方、知人の車などに無断でGPS機器を取り付けることは、一昨年施行の改正ストーカー規制法で規制された。一年以下の懲役または100万円以下の罰金。警察官ならば百も承知のGPSの流れだろう
▼GPS捜査では「プライバシーを侵害」が問題になった。これに対し、改正ストーカー規制法での規制は恋愛感情に基づく付きまといが対象で、県警巡査部長が取り付けた「知人の車」が当てはまるかは報道の範囲では分からない
▼「信用失墜行為」とした処分理由がいわゆるストーカーではないとうかがわせるが、警視庁は昨年、悪意、嫌がらせも対象とする条例案を提出した。ストーカー同様と判断したのだろう。地方で取り締まりに差が出ることはおかしくないか
▼まして警察官の行為だ。備品を使用していたとしたら、薄気味悪くなる。