▼「今年は断行の年」と、幹部職員らへの年頭あいさつで一見勝之知事。「断行元年」でないのは中身が「人口減少対策などに注力」すなわち昨年年頭に発した「人口減少対策元年」の継続を含むからだろう。「人口減少対策二年目」と同義でもあるということだ
▼「人口減少対策元年」の結果は知事の言葉に尽きる。「県が先んじているが、結局は中身が勝負」。就任直後に指摘した組織の未整備については先んじた、中身以外は先んじたということだろう。1年目がスタートの年で2年目が断行の年、3年目にジャンプするというなら、県民も長い目で見ていかねばならない
▼職員に対しては「少しずつ皆さんのことが分かってきた感じ」。その通りに違いないが「皆さんも私のことが少しずつ分かってきたと思う」というのはどうか。県職員がこぞって推した前副知事候補が敗れて北川県政が誕生した平成七年知事選以来、辞表を出す職員は皆無で「トップの考えを実行するのがいい職員」の文化が取って代わった。鼻毛を読むことにかけてはトップになった知事ではかなうまい
▼「公僕」の意味を辞書で解説し「県民は県のパートナーではない。主権者だ」としたのも、職員の意識改革を進めた北川正恭氏の主張に似る。いつか来た道へと、退屈な1年が始まっていくといえようか
▼就任して3カ月の一昨年は「コロナに忙殺された」印象で、昨年は「混沌の中にいた」ようだったという。年末年始は、リニアを巡る川勝平太静岡県知事の批判本『知事失格』を読んだ。期するところありや。分かりやすい行動ではある。