2023年1月6日(金)

▼衆議院議員から転進した北川正恭氏と県職員一筋だった前副知事が激突した平成7年知事選。前副知事支援の県幹部らがいらだったのは支持者らを前にした手の振り方だ。北川氏は大きく手を上げ、交差するなどして観衆に応えるが、前副知事は県幹部らの再三の勧めにもかかわらず、手が上がらない。終盤、やっと片手だけが上がるようになったが、盛り上がり方が違うと嘆いた

▼票差は約1万票。単純計算では5千票の行って来いで勝敗が決す。と思えば、手のあげ方一つ、バカにならない。首相の神宮参拝で、一見勝之知事は笑顔で手を振りつつ沿道を進む首相一行の最後尾を歩いたという。記者に「前方に行った方がよいのでは」と促されても「私は目立たなくても、県のアピールは別の機会がありますから」

▼だから、この機会をスルーしてもいいとは、知事自身思ってはいまい。が、体が動かないのではないか。県のリーダーが一行を先導するか、最後尾を歩くかでは、県民の気概にも天地の開きができよう。中曽根康弘氏が首相就任した当時、国際会議などでは目立たぬ存在だったが、記念写真の際はいつのまにかレーガン米大統領の隣にいるといわれた。国内外で中曽根氏への見方が変わってきたという

▼元津市長の近藤康雄氏は、初の市長選挙の棒読みのようだった演説が就任半年で見違えるほど巧みになった。末松則子鈴鹿市長の父、充生元県議会議長は演説の草稿を毎日テープレコーダーに吹き込んで練習したという。「男子3日会わざれば刮目して見よ」は知事の愛読書『三国志演義』の一節である。