伊勢新聞

岸田首相が伊勢神宮参拝 年頭会見「賃上げで未来切り開く」 三重

【多くの警備に囲まれながら参道を歩く岸田首相=伊勢市の伊勢神宮内宮で】

岸田文雄首相は4日、三重県の伊勢神宮を参拝した。参拝後の年頭記者会見では「賃上げによる人への投資こそが未来を切り開くエンジンとなる」と述べ、インフレ率を超える賃上げを目指すと強調。リニア中央新幹線については「全線開業に向けて大きな一歩を踏み出す年にしたい」とし、JR東海が年内に名古屋―大阪間で環境影響評価に着手できるよう、支援や指導に当たる考えを示した。

岸田政権の伊勢神宮参拝は昨年に続いて2回目。齋藤健法務相、西村康稔経済産業相、西村明宏環境相、河野太郎デジタル・消費者担当相ら閣僚8人や、磯﨑仁彦内閣官房副長官らが同行した。

岸田首相は正午過ぎ、近鉄特急で宇治山田駅に到着し、一見勝之知事、前野和美県議会議長、自民党の県選出国会議員らの出迎えを受けた。外宮、内宮の順に参拝した後、神宮司庁での会見に臨んだ。

岸田首相は会見で、今年の干支(えと)「癸卯(みずのとう)」にちなんで「昨年の出来事に思いをはせながら新たな挑戦をする一年にしたい」と強調。経済の好循環に向けた施策や少子化対策に注力する考えを示した。

県政記者クラブからは、新型コロナウイルスの対策や旅行支援の政策などについて質問。リニア中央新幹線への考えや、6月に志摩市で開かれるG7(主要国首脳会議)交通大臣会合の意義も尋ねた。

岸田首相はコロナ対策について「科学的知見を踏まえて不断の見直しをしなければならない」とし、感染症法上の分類引き下げについて議論すると説明。観光政策は「旅行需要の喚起を着実に進める」とした。

リニアは「三重、奈良、大阪の各駅を中心としたまちづくりの検討が進むように関係者と連携して取り組む」と説明。静岡工区の未着工問題については「地元自治体との調整を進める」などと語った。

交通大臣会合では、気候変動などの課題解決に向けて「リニアを含めた日本の技術革新や先進的な取り組みを議論に反映すべく取り組む。共同声明としてメッセージを発信できることを期待する」と述べた。

また、岸田首相は伊勢志摩サミットについて「安倍総理(当時)の卓越したリーダーシップで多くの成果があった」と振り返り、5月の広島サミットで「議長国として強いリーダーシップを発揮する」と語った。