伊勢新聞

2023年1月3日(火)

▼正月はまず「伊勢新聞の知事、社長対談を読んで」と言ったのは県議時代の田中亮太氏(前亀山市長)である。ボリュームたっぷりで、一年の県政の方針を頭に入れるには重宝だというのだ

▼自分が製作に関係していたころはピンこなかったが、現場を離れて、なるほどと得心したのだが、さらりと読み飛ばせないのがコラム子の宿命が。つっかえて読み終えるのが容易ではない。今年で言えば、リニア新幹線の課題。国交省出身の知事だけに教えられることは多い

▼亀山駅がどの位地になるかについてはJR東海とで緻密に連絡を取り合い、決定の過程で節目ごと、適切に対応できる仕組みを築いているようなのはさすがで、JR東海の意向も掌握しているかにみえる。半面、県は「新幹線が通っていないので、あまりリニアの効果は分かってもらえないんだと思います」というのは何を指しているのか

▼北海道にしろ北陸にしろ、新幹線誘致熱はすさまじかった。開通当時も地域をあげて祝福し、地方新聞の集まりでも、在来線廃止の話題を向けるとマユを逆立てられたものだ。県の場合、特に関西線の不安との二人三脚の様相が強く、盛り上がりが知事の期待ほどではないか

▼新幹線が県を通っていないことについては、むしろ国土交通省に聞きたくはある。東海道に沿って建設する構想が、途中で岐阜に方向転換し、年間降雪量が多い関ヶ原を通過することになった。政治力の差だなどの臆測が県民に浸透している

▼リニアでは修正されると信じているが、県民は県民なりに、長く積み重なった言い分があるのである。