伊勢新聞

2022年12月30日(金)

▼「牛に引かれて善光寺参り」か「馬を水辺に連れて行けても、水を飲ませることはできない」か。あまり気乗りしているように見えなかったが、県の新型コロナウイルス感染の過去最多数を受けて、一見勝之知事は愛知、岐阜両県とのオンライン知事会議に参加し、年末年始のさらなる警戒を呼びかける共同メッセージを発令した

▼一見知事が今年の一字に「復」をあげて、経済の「復調の兆し」をあげた時、コロナの復活の「復」も連想した。懸念が現実になっているかは「善光寺参り」なのか「水を飲まない」のかも含め今後を見守るしかないが、医療ひっ迫防止対策強化宣言を発令中の古田肇岐阜県知事が「緩みがある」という専門家の指摘を引用したのは、一見知事に向けた気がしなくもない

▼県が救急搬送困難事案をコロナ関連の患者に限定しているとし、古田知事は「コロナ関連とコロナ以外の搬送は相互に影響する。私たちは全ての事案を計上している」。「重症者用病床の使用率は高くない。救急搬送困難事案もそこまでには至っていない」と、一見知事が楽観論を説くことに、カチンときたのかもしれない

▼過去最多で、クラスター(感染者集団)も23日までの1週間で29件。県の患者情報プロジェクトチームは「増加に歯止めが掛からない」としながらも、人の動きが活発となる年末年始を前に「対策を徹底してほしい」

▼県民に求めるだけだ。せめて各種宣言ぐらいは先取りして、県民への「アナウンス効果」に努めてもいい。古田知事がそこまで考えたかどうかは知らないが、同感である。