伊勢新聞

2022年12月28日(水)

▼津市の男性職員が勤務中の酒気帯び運転で懲戒処分になったことについて、前葉泰幸市長のコメントがなかった。市の現状は、何はともあれ市長が市民にひと言あってしかるべきではないか。23日の今年の十大ニュース発表に間に合わなかったのが市長のために惜しまれるが、酒気帯び運転摘発が12日。逃げたわけでもあるまいが

▼自治会問題を受け設置した内部統制室が「しっかり機能している」と十大ニュース発表時。「生まれ変わった市役所として堂々と胸を張って市民のお役に立てる市政を目指していく」と続けた。その後競艇CMに絡む収賄で職員が逮捕され、勤務中の飲酒が繰り返されていた。胸の張りようもあるまい

▼自治会問題では、顧問弁護士とはいえ法曹関係者の検証委員会を設置し、損害賠償請求訴訟も起こして見せ「組織の統制において、市長として行き届かなかった」と陳謝した。検証委報告の同様の指摘もさることながら、関係者からチョコをもらい続けていた負い目もあったか

▼競艇CM事件では、検証委は設けず、検察や津地裁から悪質だと認定された「常習的犯行」を明確にすることもなく、前葉市長は「職員一人ひとりが自らの身を律していかなければならない中で(気の)緩みがあった」

▼勤務中の常習的飲酒も「気の緩み」か。事件の規模、態様には各論もあろうが、元自治会長や特定の元幹部職員に目を向けさせることができない分、体質がもろに噴き出しているのではないか。「生まれ変わった」というより不祥事が続く理由を分かりやすく事件が物語っている気がする。