伊勢新聞

2022年12月27日(火)

▼2期8年にわたって二転三転して会派の分裂騒ぎまで起こした県議会の議員定数問題だが、鈴鹿市議会は6月定例会で特別委員会を設置し、12月定例会で四減案を可決するスマートな運びだった。県の混乱ぶりは困るが、あっさり決まるのもどうか

▼4減案の賛成討論の骨子は「(削減で浮く)財源を市民サービスに」「身を切る改革」。まるで執行部のようで、自分らはいらないと言っているようでもある。間接民主主義の仕組みを否定していないか

▼反対は「削減ありきは疑問」「多様な市民の意見を反映する必要」「20年後の人口減少が根拠なのは拙速」。特別委の市民への報告会では、減員方向の説明に対し市民から「もっと地域の声をくみ上げてほしい」。原点を教えられた気はしなかったか

▼アンケートに回答した46人のうち、定数が「多い」と答えたのは27人で5割強を占めたが「選出されていない地区があるので現状のままで良い」「根拠がしっかりしていれば人数は関係ない」なども。それらに対応しない安易な削減は、議会の存在意義を、ますます失わせていくことになろう

▼「身を切る改革」は国会でももう下火らしい。むしろ旧統一教会の侵食や、失言、詐欺まがいの大臣、差別意識の政務官などがあきれさせているが、元を正せば国民の無関心や、少数を固めれば当選する選挙制度の問題もある

▼自分たちがいなくなれば報酬を事業に回せ、市民の役に立つ、という情けない主張はやめてもらいたいが、そんな意見が多数というなら全廃した方が、という意見も出てくるかもしれない。