伊勢新聞

2022年12月25日(日)

▼本紙の年末企画『歳末点描』のクリスマスイブ付けテーマは「サンタ姿で『ストップ特殊詐欺』」だった。桑名地域生活安全協会と桑名署が暴力団排除と特殊詐欺被害防止を呼びかけ、赤い帽子をかぶった桑名中央ロータリークラブ会員らが商店街を歩き、啓発品を配った

▼40年ほど前、この欄を担当した時のことを思い出す。津市丸之内の商店街でジングルベルが大音響で流れていたが人影はなかった。キリスト教の教会を訪ね、イブの過ごし方を尋ね、ろうそくをともした静かな邸内を見ながら、ケーキは食べますかなどと聞いた

▼サラリーマンの飲み屋などでのどんちゃん騒ぎから家庭で祝う形への過度期だったか。その後、トレンディードラマの影響などで恋人と過ごす夜などとされたが、今はどうか。ショッピングセンターなどで店員がサンタの衣装を着たりしていたが、少なくなった気がする

▼年末の犯罪も、かつては金融機関を狙った強盗事件が必ず発生し、『歳末点描』というより、金融機関での「強盗訓練」が年末の風物詩だった。怒声をあげる強盗役の警察官の演技は秀逸だったが、銀行から信用金庫、郵便局などと狙われる対象は変わり、今年は「タクシー強盗」を想定した訓練があったが、年内のタクシー強盗はゼロという

▼JRなどとのテロ対策合同訓練があったのは、安倍晋三元首相狙撃事件あるいはサミット対策ということか。サンタは子どもたちへ贈り物をする人物から「クリスマス商戦」のマスコット。そして市民の安全安心を願う象徴へ役割を広げている。時代、時代を反映しながら。