伊勢新聞

2022年12月24日(土)

▼津市の競艇CM収賄事件で、収賄罪に問われた元同市職員らの判決が津地裁であり、執行猶予付き有罪判決が言い渡された。18万円の少額ながら、贈賄側の弱みにつけ込んで要求していることや「常習的犯行の一環である点からも悪質」という検察が冒頭陳述で明らかにした罪状は維持された

▼元自治会長事件に続く「常習的」「悪質」の深刻さを思わせる。前葉泰幸市長も「職員一人ひとりが自らの身を律していかなければならない中で、緩みがあった」。再発防止策として幹部対象の緊急研修実施と「公正公平な市政の確保に関する条例」に基づき組織体制に問題がなかったかなどを検証するとした

▼それから三カ月。自治会長問題との違いは、検証の結果がまだ公表されていないことだ。検証が顧問弁護士でないことは検証結果として当時の上司三人を戒告、部下一人を減給の懲戒処分にしたのが人事課であることで分かるが、報告書などは出ていない

▼被告の上司とともに複数の飲食をともにした部下が、常滑出張も同行して前泊した宿泊、飲食代、福岡出張の同代金に飛行機代などを負担せず、誰が払ったかも分からないとしている問題は解明されていない。特に福岡出張の際は、年次有給休暇を取った上での同行。贈賄側とされる広告会社が賄ったか、別に接待業者がいたのか

▼むろん収賄額18万円とは別に違いない。県のカラ出張のように組織的公金横領の仕組みがはびこっていないとも言い切れない。事件は「市の行政に対する市民の疑惑や不信を招くもの」というのは市人事課。いまだ晴れてはいない。