▼ロシアのウクライナ侵攻で世界の経済がひっくり返る中、ひとり我が道を行くかの黒田東彦日銀総裁も物価高騰、円安の波に押し流されて政策転換の兆しだが、県はどこ吹く風。年の瀬の県民の不安を大所高所から眺めながら、県議会は職員の給与はじめ知事や副知事、県議ら特別職の期末手当引き上げの予算案を淡々と可決し閉会した。自分らの年越しの準備は滞りなく終えた感
▼県が巨額のカラ出張、すなわち公金横領で揺れた時、焼け石に水程度の信頼回復策で虚礼廃止が通達されたことがある。外郭団体の会議に委員として出席していた幹部らが昼休憩になると、出された昼食をおびえる目で見て中座し、自前で腹を満たす。団体代表に天下っている県OBが苦笑して言った
▼「昔は職員の給料は安くて、気の毒だというので昼食提供の習慣ができた。今は高いからなあ」。県内屈指の高給取りになっても、ただメシを食う習慣は変わらなかったということだろう。やはり公務員が貧しかった頃、少しでも民間の給与に近づけようと始まった人事院勧告制度も似たところがある。11月の県人事委員会勧告は、職員給与の0・09%アップ。一見勝之知事は「労働基本権制約の代償措置としての人勧の趣旨を尊重し」としたが、ストなどできない企業がほとんどになってなお、通用する趣旨か
▼職員給与は全員賛成。県議ら特別職の期末手当は一人反対。「物価高騰の中で、県民の理解は得られない」(山本里香議員)。旧統一教会との癒着究明は年明けに持ち越し。まずやることをやって報酬。順番が逆の気はする。