伊勢新聞

2022年12月17日(土)

▼県総合教育センターの中に、不登校の高校生を支援する県立の教育支援センター設置するという。「学習支援だけでなく、生徒が交流できる場にしたい」(木平芳定教育長)。フリースクールのイメージか。7月に実証研究を始め、休学中の生徒や中途退学者ら19人が登録し、元教員ら四人が学習支援しているというから、夜間中学などに比べ、ずいぶん手早く運んだようだ

▼総合教育センターは教育研究、教員の研修目的に設立され、時代とともに多少性格を変えてきた。その一つが教育相談などの教育サービス。当初は不登校教員など、もっぱら教員の悩み相談がメインだが、保護者らの相談にも応じるようになり、生徒へも広がった

▼いま3児の母のわが娘が県立高2年進級とともに担任とのあつれきが原因で不登校になった。担任から総合教育センター相談窓口のパンフレットがファクスで送られてきた。そこで相談した方がいいというメモ書きがあった。センターに問い合わせると、ここは教員対象。生徒がダメということでもないが、と戸惑いの口ぶりだった

▼20数年前である。生徒対象はそのころから始まり、いまはかなり広がっているようだが、成果などの結果が報告されたことはない。増える一方の不登校生徒に、ようやく本腰を入れる気になったか。本腰というのは、学校に連れ戻すことを第一にはしない、生徒本位の対策という意味である

▼わずか一年にも満たない実証研究で学校第一が骨身にしみている元教員や教員の意識改革が果たしてできるのか。不登校生を持ったかつての親の不安である。