▼「みえ森と緑の県民税」が令和6年度以降も継続する理由を、学識経験者や林業関係者などでつくる評価委員会で「制度に対する否定的な意見がなかったため」とした県の説明は、やはり釈然としない。説明を受けた県議会常任委員会も異論なく了承したのかどうか
▼10月の前回常任委では同税に対する県民アンケートが報告された。回答者の8割が同税を「知らない」と答えたが、事業継続は約9割が「賛成」した。11月の評価委は、県民の無関心の中で進めることの危機感が表れていた
▼6年度からは、国も同税と同様、一人当たり千円の森林環境税を開始する。県は「県民税と森林環境税の使途はすみ分けられている」。二つの税が徴収されることに問題はないという見方を示したが、評価委では、明確なすみ分けを示すことができなかった。現在の国の森林環境譲与税とのすみ分けさえ、県民に分かりやすい説明ができていないと指摘されている
▼そこへ新たに森林環境税が加わる。三つの税のすみ分けを次回委員会までにきちんと説明できるようにしてほしいという注文もあった。森林環境譲与税や森林環境税は、存在さえ県民は知らないのではないかという懸念も表明されていた
▼どんな意見が「否定的な意見」になるのかは知らないが、すみ分けがはっきりしない以上、意見を言うのも難しいというのが議事録を読んだ印象だ
▼温暖化による異常気象が取りざたされる中で、森林整備が不可欠というのは県民、国民の基本的認識だろう。その漠然とした不安に、行政が付け込むようなことがあってはなるまい。