伊勢新聞

2022年12月13日(火)

▼仲間内の話をばらすようで気が引けるが、共同通信社の経済部長が新任あいさつかなんかで来県したらしい。仕事のことが頭を離れないのはさすがで、「そごう・西武」が米投資ファンドに売却される百貨店衰退の時代に地方はどうか、津市を視察した報告を社内報に書いていた
▼「社外秘」だから県議の二の舞になっても困るが「デパ地下から7階レストラン街まで『由緒正しい』売り場があり、百貨店というより民俗博物館のようだった」。「民俗博物館」とは古色蒼然の意味か、時代の移り変わり動じぬ様子か。不易流行の〝芭蕉のふるさと県〟としては気になるところ
▼駅から遠く、周囲に目立った商業施設がなく、天守閣の史跡が近いから昔は中心地だったのだろうと観察している。もう少し先の大門・丸之内地区を見たら、さらに辛口になったのではないか。四選出馬の公約に中心市街地の整備を掲げた前葉泰幸市長とは意気投合したかもしれない
▼実際、経済部長の脳裏には子ども時代遊び場だった〝小売りの王〟デパートへの郷愁がありそう。前葉市長も「(宿屋町=現東丸之内に)生まれ育った私」として市街地活性化を目指す。かつて文化の総合発信拠点だった西武池袋本店に家電量販店ヨドバシカメラが入ることに「幻滅」。かわいさ余っての感
▼が、先例があるという。老舗の日本橋三越本店の新館フロアはビックカメラが入店。おなじみ赤いベストではなく、スーツ姿の店員が接客している。高級感ある他のフロアに比べて「違和感は否めない」
▼目と鼻の先にリニューアルする三重テラスがある。