2022年12月8日(木)

▼南伊勢町の公金横領事件裁判の検察側冒頭陳述で、事件発覚のきっかけが明らかになった。横領現場の一つ、町立南伊勢病院の事務長から被告である元総務係経理職員に口座残高の不自然な減少について調査するよう命じたことが令和元年度から4年度にわたる1億数千万円の横領が明るみにでることになった

▼間が抜けているというか、けがの功名というか。規則によると、事務長は収入金をその日のうちに職員から引き継ぎ、金融機関に入金することになっている。実際は、通帳を見たこともなかったらしい。決められた支払い決済を病院長に求めることもなく、病院長もまた不思議とも思わず、月1回の監査委員に提出する書類も被告が1人で作成していた

▼提出後に金額欄から着服分を削除したり、通帳には着服した日付、金額が鉛筆書きでメモされていたり、窓口から受け取った伝票はシュレッダーにかけて自分が書き直していたり

▼病院時代の着服回数が判明分だけで590回、1回当たり10万―80万円。現金と通帳残高の違いは一目瞭然だが「チェック機能がなかった」「チェック体制がなかった」「帳簿とキャッシュが合わなかったが全然気づかれなかった」と被告は町の聞き取りに答えている

▼事務長の調査指示に納得させる説明ができず、当時の副町長に事実を告白したという。腹黒なら乗り切れたかもしれない。平成30―31年度の上下水道課着服分はそれまで発覚せずにいたらしいのだから

▼「なぜこういう事態になったか」と町。「お笑い、南伊勢町」の一冊がモノにできそうな気がする。