伊勢新聞

2022年12月6日(火)

▼ペットボトルの回収率は令和3年度で94%。米国18%、欧州42%に比べて、高いリサイクル率を誇っているという。なのに、津市の各河川や湖沼にペットボトルが浮き、公園の立木の中に捨てられて散乱している。津市に限ってのことか

▼清涼飲料水の自販機に備えられた回収箱は溢れ、箱の上にプラスチック製買物袋(いわゆるレジ袋)に入れられ積み上げられている。コンビニのゴミ箱も瞬く間に溢れるが、車で立ち寄る客が持ち込むのが主な理由だ

▼なにしろ、津市は公共的空間のゴミ箱を撤去している。ビニールシートでふさがれたゴミ箱の上に、プラスチックゴミがレジ袋に入れられ、積み上げられている。道路に捨てられてもいる。菓子などを包むプラスチックの捨てられたフタの上で、イヌにふんをさせている

▼サントリーグループがペットボトルを元の製品の形で利活用する水平リサイクルを推進し、食品スーパー「ぎゅーとら」と協定を締結したが、ペットボトルのごみが散乱する津市も8月、民間3社とリサイクルに関するパートナーシップ協定を結んでいる

▼これにより市が資源物として収集した使用済みペットボトルは来年度から、再生ペットボトルの原料に加工されてサントリーグループに納入されるという。「温室効果ガス削減目標に大きく寄与し、市民にゼロカーボンアクションを身近に感じてもらえる」と前葉泰幸市長の舌は相変わらず滑らか

▼市の回収率は使用済み全体のどのくらいか。「津市地域脱炭素宣言」もいいが、捨てられたペットボトルの始末も民間任せにしない施策を願いたい。