伊勢新聞

2022年12月5日(月)

▼スポーツ鬼ごっこの大会「三重とこおに大会2022」が津市であり、九チームが熱戦を繰り広げた。名称に「とこおに」とあるように、三重とこわか国体・大会のデモンストレーションスポーツとして選定されいて、12チームが出場登録していた

▼鬼ごっこは、オニ役が数を数えるわずかの間に逃げ、オニ役が追いかけてタッチすると交代する仕組み。単純な子どもの遊びだが、かくれんぼとともに子どものころ何が楽しいのか、日暮れまで飽きずに繰り返した。いずれも平安時代に起源をたどるというが、ある年代以上は経験者が少なくなっているのではないか

▼「スポーツ鬼ごっこ」はそれを原形に「宝」の争奪戦が加わるというから、桃太郎の昔話に代表される鬼ヶ島伝説の要素も取り入れたか。東紀州は「紀ノ国」と呼ばれ「木」の字も充てたが、「鬼」も多く、鬼ヶ城はじめ「二木」「三木」の地名や「三鬼」「九鬼」などの名字に残る。一から十までで見当たらない「木」「鬼」があり、探せば大発見だと野呂昭彦知事(当時)が言っていた

▼「鬼」は中国伝来だが「死体」の意味で、日本で独自に発達。雷神や地獄の鬼、百鬼夜行など、理解を超える自然の脅威が鬼の仕業とされたが一方、鬼才など優れた能力に敬意を込めた表現としても使われた。渡来人をそう呼んだという説もある。「鬼滅の刃」の人気の秘密に、そんな要素もあるのかもしれない

▼県教委が祭などの復活を目指すという。平成六年の世界祝祭博の趣旨の一つだったが、歴史は繰り返すが、「スポーツ鬼ごっこ」は参考になる気もする。