伊勢新聞

2022年12月1日(木)

▼知事の応接室は三つだったか。その一室で待ったことがあるが、前の訪問客が長引いて遅れて現われることはあっても、表情に変化がないのには感心した。深刻な客もあり、楽しい客もあっただろうが、まるで分からない。前の話題を引きずっていては知事という仕事は務まらないのだと考えさせられた

▼省エネ家電の購入者にキャッシュレスポイントを付与するキャンペーンを始めるという発表は、温室効果ガスの排出削減などが目的という。「家電の消費電力は10年前の約半分。地球に優しい買い替えを検討してほしい」。物価高騰への支援もあるらしい。一石二鳥だが、コロナ対策を含めた三鳥とまではいかないか

▼第8波が北から始まっているのは寒さで換気が十分でないためというのが一見勝之知事の見立てだが、ウイルスの活動が弱まるはずの夏場もコロナが猛威を振るったのは空調が疑われている。省エネをめざし、外気の比率を下げたため、室内の空気がぐるぐる回っているだけで換気にならない。中央集中型は特にそうで、高齢者などの施設でクラスター(集団感染)が起きるのは一説にはそのためといわれる

▼北海道の第1号クラスターも、空調を省エネモードにしていたのが原因という。県を恐怖で襲ったBSE(いわゆる狂牛病)も、元をたどれば、石油高騰で飼料穀物の熱処理を簡略にしたことが羊から牛、人への異種感染を招いたとされる

▼空調の場合、国の対策分科会の推奨通り、省エネ製品から「高い換気能力の設備」への買い替えにポイントをはずまねばなるまい。ウィズ・コロナである。