伊勢新聞

2022年11月29日(火)

▼特定自治会長問題や津ボートCM収賄問題でひたすら頭を低くして世間の風がその上を通り過ぎていくのを待っているそぶりだったので、4選出馬への執念は見る思いがしていた。表明は当然のことと受け止め、その場がどこかに注意が向かなかったが、前葉泰幸津市長は現職首長としては異例のホテル津センターパレスで行ったという

▼「これまでとはまたひと味違う、フレッシュな前葉泰幸の新しいスタートの場所として選んだ」。確かに、特定自治会長の関係者とされるスナックのママから3回続けて受け取ったというバレンタインチョコの味と同じでは困るが、同所が自身の出身地であることが理由の一つというなら、議会の立場はいかがか。合併した旧津市を除く9市町村の住民も、鼻白む向きはいないか

▼昔、柏木廣文・大紀町長のお国自慢を会合で聞いたことがある。旧大内山村の牛乳に、同紀勢町の魚だったか。そして、ときた。「我が大宮町には七保牛あり」。いまだ大紀町全体の代表の意識はないんですねと言って、大いに不興を買った

▼周辺市町村を整備し「バランスの取れた発展がほぼ実現」というのが実績に数え上げられているらしいが、旧安濃町町議が「合併賛成は誤りだった」と語った後悔はぬぐえまい

▼自治会長問題では「市役所がだまされて申し訳ない」。〝甘い〟言葉にか。CM収賄問題では「賄賂を受け取り、飲食することが常態化」と検察に指摘された。こちらは〝おいしい〟言葉か。共通する市の体質といえようが、収賄事件については、庁内に検証委員会を設置する気配はない。