伊勢新聞

2022年11月28日(月)

▼県が25日、新型コロナウイルスの「感染防止行動徹底アラート」を発令した。何だか舌をかみそうな名だが、過去に使った名称では「アナウンス効果」が期待できないという苦肉の工夫か

▼「行動徹底」が向けられているかは言うまでもなく県民である。「市中で感染を増やさないように対策を徹底してもらいたい」。そのためには、一時、取り扱いがぶれたマスクも「やっぱマスクを着ける」(一見勝之知事)、「多くはしておられないと思う」(同)というマスク会食も、徹底してもらう

▼そして手洗いや換気。第8波と第7波との違いは、医療機関での「院内感染」が増えていること。原因は庁内で「換気だろう」という結論に何となく落ち着き「よく分かりません」(同)

▼「病床使用率の40%超え常態化」がアラートの理由だが、22日の記者会見時点で3日連続で40%を超えていた。「40%を超えたからといってアラートを出すわけではありません」と言っていたから、知事は7波、8波を「先手先手で乗り越えてきた」と言うが、岡目八目的には「後手後手」の感が否めない

▼7波の「重要な反省点」とする高齢者施設の感染増。8波では「11日から90施設に要請を始めた」。先手の例とするが、一日の感染者が千人超え、高齢者施設でクラスター(感染者集団)発生は9日だ。16日は1700人超。クラスターが高齢者施設で5件、医療機関で3件、障害者支援施設で1件

▼このままでは「病床使用率は50%を超え、救急搬送、入院や手術の延期などの影響」と一見知事。だから「後手後手」では。