伊勢新聞

2022年11月25日(金)

▼「アナウンス効果」の反対語というと「風化」になるのではないか。類義語かな。もともと金融、経済用語だが、報道が選挙行動に影響する意味で日本では定着した

▼よい意味ではなかったが、「効果」とあるせいか、最近はニュアンスは変わってきた。一見勝之知事の提案で県が8月5日に発令した「BA・5対策強化宣言」。「まん延防止等重点措置」に至る前の対応という位置づけだが、施策に目新しさがなく、発令理由について、一見知事は「アナウンス効果」をあげた

▼感染数減に伴う警戒心の低下、つまり〝風化〟を防ぐ意味合いを込めたのだろう。第八波の到来を受けて、知事は警戒心の〝風化〟も理由の一つにあげた。黙食、すなわちマスク会食が減っているでしょう、というのだ。県民のせいにするかのようだが、知事がマスク会食を県民に呼びかけたのは4月末。その後呼びかけは聞かない

▼この間マスク着用は緩和の指導が出された。黙食についても、教育現場などでの弊害が指摘されている。第8波で「マスク会食減」などを言われても戸惑う県民は少なくないのではないか。「アナウンス効果」は一度出せばいいというものではない

▼第八波到来で、15日の記者会見で「県独自のアラートを出します」。22日の会見ではアラートを検討という。その翌日、感染者は70日ぶりに2千人を上回った。万事ちぐはぐ。というか、後手後手に変わりない

▼「天災は忘れたころにやってくる」は寺田寅彦の言葉。『天災と国防』の中に考え方が込められている。国民一丸となる対応を国に求めている。