伊勢新聞

<まる見えリポート>ラグビー集客増へ産学連携 三重ホンダヒートと鈴鹿大が取り組み

【三重ホンダヒート事業運営スタッフと意見交換する鈴鹿大の学生ら=10日】

三重鈴鹿市の社会人ラグビーチーム、三重ホンダヒートが市内にキャンパスを置く鈴鹿大の学生とタッグを組んで集客増に取り組んでいる。12月17日にスポーツの杜鈴鹿メーングラウンドで行うNTTジャパンラグビーリーグワン2022―23シーズンの開幕戦で来場者を対象にアンケートを実施し、その結果を集客につなげたい考え。試合当日は無料招待分だけで3千人以上の来場を見込んでおり、その機会を生かすため産学で連携し「新規来場する方に対して何ができるか」「どうしたらまた来たいと思うのか」などのテーマで検討を重ねている。

三重ホンダヒートからの課題に取り組むのは国際地域学部でスポーツマネジメントを学ぶ紺田俊助教のゼミ生ら12人。市内を拠点に活動する女子ハンドボールチーム、三重バイオレットアイリスのホームゲームのイベントを企画した実績もある。三重ホンダヒートとの連携は鈴鹿市観光協会の仲立ちで実現。今年10月の顔合わせ以降、アンケートの回収率を上げるための工夫、さらにアンケート以外の来場者向けイベントの企画を検討してきた。

11月には大学で中間報告を行った。アンケートについては、回答用紙自体が引換券となる懸賞の実施、イベントについてはラグビーボールを使った遠投コンテスト、ペットボトルキャップなどの「SDGs(持続可能な開発目標)に貢献出来る」指定のものを持って来場した観客向けの特典を設けるなど、各自が持ち寄ったアイデアを披露した。

三重ホンダヒートからは事業運営担当の松下康和さんらスタッフ2人が出席し、学生からの提案について感想を述べた。イベント班の発表については、女性も楽しめるイベントのほか、客から集めたペットボトルキャップなどの再利用方法などさらなる検討が求められた。同席した今光俊介学部長からは「もっと一歩踏み込んで、逆提案できるように」との助言もあり、イベント班の学生、植田勝行さんは「観客から集めたものをどのように活用するか考えていきたい」と話した。

ラグビー界では新型コロナウイルスの影響などによる集客の落ち込みが課題となっている。三重ホンダヒートは昨シーズンのホーム戦の平均入場者数がリーグ全体の17番目の約千人にとどまるなどその傾向が顕著。「地域に愛され、認知され、必要とされるチームを目指して行きたい」と話す三重ホンダヒートの松下さんは「われわれが気付かないことを気付ける。また実際に動いていただくことで我々に手の届かないことをやっていただける」と、産学連携のメリットを強調する。

紺田助教のゼミ生らは三重バイオレットアイリスのホームゲーム会場でも観客を対象にしたアンケートを実施した。「将来スポーツ業界で働く上でも市場を知ることは大事」と、産学連携を貴重な学びの機会ととらえる紺田助教は、「課題解決型の学習を実施することで学生の実践的な学びを深め、スポーツを通じた地域活性化、まちづくりにも寄与していきたい」と今後の展望を語る。