2022年11月20日(日)

▼県観光局長がコロナに感染し、観光振興とコロナ対策の矛盾した両面作戦を展開する一見県政を象徴する現実の気がしたが、その観光局を来年度は部に昇格させるらしい

▼コロナ対策の方は「第八波は既に到来」と言っただけで、特に新味のある呼びかけはなかったから、ますます観光へ前のめりに突っ込む覚悟と見える。組織改編は一般論としては正しい。どんな組織でも長年の習慣がウミとして沈殿しするからだ。県の場合、沈殿速度は速い

▼「観光」は長く課扱いだったが、議会には歴史ある観光議員連盟があり、重みがある。日本中にリゾートブームが吹き荒れたころ、県は「リゾート課」に変更する案が出たが、議連が猛反発し「観光リゾート課」になった。リゾートの名が消えて久しいが、部への昇格は一つの考え方だろう

▼南勢への知事の認識不足が議会から非難されたが、南部地域活性化局は存続のようだから二重行政は調整しなければなるまい。一方で、昨年4月に新設したデジタル社会推進局は、一見勝之知事誕生とともに民間人起用の最高デジタル責任者(CDO)が兼務の同局長を解かれた。来年度から「デジタル推進局」に改称され、総務部に移管する。目玉の「空飛ぶクルマ」への環境整備業務は雇用経済部に移すという

▼デジタル技術で描く未来像をうたった構想が急速にしぼんでいく。これほど露骨な前県政施策の実質否定は、ライバル視された北川県政から野呂県政への転換でもなかった気がする。文書改革などは総務部の下では限界があろう。朝令暮改はこの場合、ウミの温存になろう。