伊勢新聞

2022年11月19日(土)

▼「一杯のコーヒーから」は昭和14年、霧島昇とミス・コロムビアが歌ったヒット曲。それをもじったかのような贈収賄の端緒は一杯のコーヒーから始まるという公務員の倫理規定が話題になったのは同50年代か。最近は「コーヒー、ケーキ程度は問題ない」という解釈らしいが、五輪汚職などの遠因の気がする

▼津市のボートレース広告収賄事件で、逮捕された元主幹が加わった飲食や出張に同行・同席した部下らが飲食代や宿泊代はもとより、飛行機代も負担していなかったことについて「元主幹が支払っていると思っていた」。ネジが緩んでいるとしか思えぬが、特定の部下だけのことではあるまい

▼県が中元・歳暮などの虚礼廃止を打ち出したのは巨額カラ出張が明るみに出てから。そのころ親交のある会社社長から中元が届いた。包装紙を解くとまた包装紙が出てきた。贈り先に県幹部名。「虚礼廃止で受け取れなくなった」の断り文。贈答品の再利用だった

▼会議で昼食休憩になるとたちまち姿を消したのもそのころだった。職員給与が安かった頃、昼飯くらいは提供しようというのが最初だったと、はるか昔の経緯を外郭団体代表が語っていた。それから30年。津市はますます〝虚礼発展〟をしていたのだろう

▼特定自治会長問題で、顧問弁護士の検証チームはつけこまれた経緯について、職員の弱みをあげた。どんな弱みかは明らかにしていない。是正したとも聞かない。内部統制室をつくり、行政への不当介入阻止を図って再発防止にどれほど効果があるか

▼まして職員研修は―。むろん市長の減給も。