▼いつか来た道を歩き始めた気がするのは、全面的にリニューアルする方針に水をさすようで恐縮だが、新味に乏しい継続に勝算があるのかどうか
▼都心の一等地、東京・日本橋に構える首都圏営業拠点「三重テラス」である。運営事業者を一新し新たに委託料を支払う。1階の物販コーナーとレストランの間にある区切りを取り除くなどして一体的に運用する。2階イベントスペースは来館者と県関係者が交流する場としても活用する。規模縮小を図っているとは言えないまでも、意気のあがりそうにない地味な構想だ
▼来年9月の新装開店に、これから設計と施工業者を選定し、2カ月前に工事着工することも、力の入れようが分かる。主業務の一つである観光案内などは、県職員から運営事業者へ変更。そのために増額する委託料は職員削減で相殺するという。いかにも県らしい。責任の軸足を徐々に離していくということだろう
▼関連費用は来年度当初予算に計上する。必要最低額だろう。許認可権に裏打ちされていない県の営利事業が成功例がないどころか、大失敗で税金で清算する手口はRDF(ごみ固形燃料)事業など枚挙にいとまない。「一過性にしない」は、県の大規模イベントなどの決まり文句だが、例はほとんどない
▼伊勢志摩サミット後の三重テラスもその一つ。県は次年度目標を年々、前年比減に設定した。責任回避を優先させたのだろう。「ソフトへの転換」と言い出したのは見事だ。今度は「ノウハウがある人に県の魅力を伝えてもらいたい」
▼新しい酒を古い革袋に盛るということに違いない。