大観小観 2022年11月12日(土)

▼元津市職員免職の競艇CMを巡る収賄事件初公判で、検察の冒頭陳述が胸にストンと落ちた。「賄賂を受け取り、飲食することが常態化していた」

▼起訴事実は平成31年1月11日の随意契約で、受注できるようにした見返りに広告会社から18万円を受け取ったこと。が、それだけではない慣習を感じさせる。津市からの発注額が広告会社の売り上げの九割以上を占めていたというのも、贈賄側と収賄側の力関係が類推され、いかにもと思わせる

▼逮捕者や処分155人を出した特定自治会長を巡る問題は「長いものには巻かれろ」という役人気質をいかんなく発揮した。こちらは「弱いものいじめ」というもう一つの役人気質をうかがわせる。いわゆる「強きを助け弱きをくじく」である。市にはまん延していたと言えるのではないか

▼特定自治会長問題の時は、警察官やそのOBを採用して内部統制室を作り、外部からの不当介入を防ぐ策を講じた。被害者顔をしたのである。今度は、担当参事や課長級職員約200人対象に緊急研修を実施。なぜ贈収賄が起きたか、組織体制に問題がなかったかを検証するという

▼いまごろ基本的なことを緊急研修しなければならないのは嘆かわしいが、155人処分や、研修対象が担当部門だけで事足れりとしているのが、冒頭陳述の「常態化」の指摘との間のギャップを感じさせる。範囲や条件を絞り込める状態かどうか

▼「組織として統制ができていなかった」と前葉泰幸市長。「統制」の意味は分からぬが、組織としてガタがきていることは十分、疑ってしかるべきだ。