伊勢新聞

2022年11月11日(金)

▼来春の統一地方選挙に向けての動きが活発になってきた。県議選では伊賀市選挙区の現職、稲森稔尚氏が三選出馬表明した。やはり現職の山本里香氏も三選出馬表明したが、こちらは津市選挙区の新人に付き添った感もある。現職の単独での出馬表明は珍しい

▼現職からはこれまで、恨み節を聞かされてきた。新人は出馬表明で報じられるのに自分らはその機会がない。強力な新人もいる中で、著しく不利だというのである。現職は所属する党派で公認、推薦などの手続きがあるし、日常の政治活動がある意味、選挙活動。有利な立場でもある、と説得してはみたが、激戦を目前にした本人にどれだけ納得してもらえたか

▼稲森氏の伊賀市選挙区は定数が一減になる。一人会派で、議会が招致した参考人から提訴され勝訴したり、旧統一教会関連団体との県や県議らの関係を追求するなど、独自の政治活動で知られる。あえて物申すことでもあったか。出馬会見で触れたのは先のSNS投稿を巡る問題での議会の対応への失望と、だから自身が立て直すという意志表明のほかは、抱負だった

▼激戦を前に、政治的立場を改めて明らかにしておく必要を感じたのかもしれない。参院選で苦杯をなめた芳野正英氏も、県議選への返り咲きを目指す。「生活に苦しむ方への支援を広げたい」という動機は国政選挙に挑戦した経験を生かそうとしている気がする

▼さまざまな立場、考え方の候補者がまず県民の理解を得て議会に結集し、実現のため行動してこそ議会は活性化する。県民に信頼されるさらなる高みを目指してもらいたい。