2022年11月9日(水)

▼やや旧聞に属して恐縮だが、県の人事課長が10月中旬死去したのは衝撃だった。といっても死亡時に特に発表はなかったようで、気づいたのは後任が決まった同29日付け報道。「急病」とあったが、2日の記者会見で取り上げられていて、突然死だったらしい

▼県を担当していたころは、県人事を予測する取材で人事課長人事は文字にならない関心事だった。職掌は課長級以下の人事選考だが、人事は積み上げ式で検討・調整していく。次長候補も提案していかなければならず、部長や部長候補との組み合わせも検討範囲。県三役、部次長が決めるべき事項も含め事実上、全体の枠組みを構築する責任者でもあるからだ

▼突然死も「急病」には違いない。過労死も「突然死」の形をとる。ワークライフバランスを企業に奨励している県の事実上の働き方を左右する人事責任者が仮に過労死だったら、問題は小さくないが、ご多分に漏れずその死にことさら関心を持つそぶりは見せていない

▼その死で一見勝之知事が指示したのは「遺族にしっかりと寄り添ってほしい。要望があったらきちんと聞き、私ができることは何でもやるからと」。人事課長就任前はコロナ対策に忙殺されていたというが、遺族が公務災害を申請するようなことはなさそうだ。「県庁内の指示はしておりません」

▼知事レクチャーが深夜に及ぶこともあるようだが「やっぱり知っておかなきゃいけない最低限のものはありますので」片寄り是正は各部任せという。県庁のワークライフバランスは適切か。その検討はいまのところ予定にはないようだ。