▼リニア中央新幹線の県内駅について、「ほぼ亀山市に決まりだと三重県知事が言っていた」と記者会見で語った川勝平太静岡県知事に対し、鈴木英敬知事(平成元年当時)が「事実無根」と抗議した理由がいま一つ分からなかった
▼「極めてセンシティブな話を何らプロセスを経ず軽々しく」というのは後日の記者会見での説明。「ああいう言い方って僕多分しない」とも。ほぼ決まりの亀山市なのに、なにをそれほどセンシティブに、という思いがあった
▼駅候補について亀山市が3案提示し、県は一つに絞り込まないままJR東海に提案するという。一端は分かった気がした。県内も市内も、調整が一筋縄ではいかないということがあるのだろう。北陸新幹線が開業した時、祝賀に沸く地元市に拠点を置く新聞社幹部に「在来線のダイヤ減は」と聞いたら、満面の笑みが一変した。「全国紙がそう言って盛り上がりに水を注す」
▼県内の場合、それどころではない。本紙『まる見えリポート』は、JR関西線に対する地元の存続不安を伝えている。亀山駅が候補から外れたことについて、県は市中心部の大工事が「住民生活に影響を与える」。額面通り受けとれるかどうか。3候補地間の事情・関係は評価に「大差がなかった」という以上に複雑なのかもしれない
▼県にはネックレス都市構想というのがあった。小粒を糸でつなぐ。一都市に集中投資できないという背景がある。一見勝之知事は「必ずしも既存の駅で考える必要はない」。また「他県でも複数候補の例があった」。異例には違いないが、ということだろう。