▼小林貴虎県議への辞職勧告決議案を巡り、反対県議に説明責任を求めた伊賀市の同性カップルの公開質問状に対し、期日までに回答しなかった自民県議17人が同日の消印で、会派として1枚の回答書にまとめ送付していた。「議員の地位は県民判断に」という。同感。ただ、反対理由に相当するかどうかは疑問も残る
▼辞職勧告決議が辞職を義務づけていないのは同じ考え方からだろう。「議員の地位は県民判断に」を前提に設けられた決議に対し、前提を反対理由にすることは、決議案自体の存在を否定することにならぬか
▼期日までに会派「草莽」の5人が回答している。「自ら事情説明や謝罪」というのも、同じ趣旨だろう。「本来なら政治倫理審査会を設置して審議すべき」というのも、決議案の欠陥を指摘している気がする。問われたのは辞職すべきという提案に一人一人がどう考えたかで、ルール、すなわち土俵の形を問うものではあるまい
▼ともあれ、回答といえるのかどうかも含め、反対県議全員が回答した形になったのは評価してもいいのではないか。会派としての回答にしたのは、その内容のぜひを各自がある程度承知しているということでもあろう。差別問題では国、地方を問わず、絶望的発言も少なくない。その意味で小さくとも、大きな前進ではないか
▼十数年前、人権関係団体のリーダーが、親友から性的少数者の告白をされた時のことを語っていた。しばらく言葉が出なかったという。民主主義は多数決だが、少数意見の尊重も大事な精神だ。考え言葉を尽くす以外、相互理解の王道はない。