2022年10月29日(土)

▼11月の「県いじめ防止強化月間」に啓発のバスと列車を運行すると24日発表した県教委の木平芳定教育長が、いじめ認知件数増加を聞かれて「これまで認知できていなかった部分もあると思う」。教職員らスキル向上のたまものということだろうが、この日を意識してのコメントだったか

▼27日の県教委の調査で、いじめ認知件数は前年度比504件(13・4%)増の4268件で過去最多。前年度の増加数376件(増加率9・2%)をはるかに上回る。〝成果のほど〟はおびただしい

▼昨年のいじめ防止強化月間は生徒会や児童会などが「主体となって」(木平教育長)いじめ防止を呼びかけた。「一人一人がいじめに対する意見を持って考える機会が広がってきていると認識している」と胸を張った。バスや列車の運行とプロスポーツ選手の協力も得る今年の月間は「社会全体でいじめ防止に取り組んでいることを児童生徒に認識してもらいたい」

▼認識がぐらつく。いじめ全体の47・8%を占めるという「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」。「冷やかしやからかい」にいじめが潜むことは確かだが、「悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」とは性質が異なる気がする。同一に扱っていいかどうか

▼不登校も過去最多。新型コロナの影響というのは分かるが、いつまでも「本人の無気力、不安」が原因のトップでは済むまい。学校内の「友人・教職員との関係」も多く、同じ不登校でもこちらの方が深刻ではないか。いじめの見落としとも底流でつながっていそうだ。