伊勢新聞

2022年10月26日(水)

▼11月の「県いじめ防止強化月間」に、県教委はいじめ防止をテーマにバスと列車を運行するという。木平芳定県教育長が「社会全体でいじめ防止に取り組んでいることを児童生徒に認識してもらいたい」。取り組まねばならないのはまず学校や教育委員会の気がするが、それはもはやお手上げ、というのなら分からぬでもない

▼問題発生のたびに学校は設置した名目第三者委員会も含めて「いじめはなかった」と結論づけ、納得しない被害者や遺族が行動に移した場合に、県教委などが「重大事態」に認定してきた印象がある。審議経過は一切ブラックボックスで、県教委の「いじめ対策審議会」と同じ問題を追跡調査した県の「いじめ調査委員会」は結果の整合性に対する質問に「審議会の報告書が非公表のため、答えられない」。ホームページに掲載した報告書を半年間で削除したことも

▼いじめの訴えから調査開始まで一年もかかっている問題で県の「いじめ調査委員会」が24日、初会合を開いた。木平県教育長は「県の調査委なので県教委として申し上げる立場にはないが」と前置きし「被害生徒や保護者の思いに沿って調査を進めてもらいたい」。学校の第三者委の調査結果が不十分だと被害生徒側が申し入れて開くことになったのは人ごとのようだ

▼県の調査委はいじめに認定されなかった中学時代を重点調査する模様。ともあれいじめの認知件数の増加について、木平教育長は「これまで認知できていなかった部分もあると思う」。臆するところがない。いじめ解消の当事者能力は疑わしくなりつつある。