▼森林の保全を目的にした「みえ森と緑の県民税」について、県民5千人対象のアンケートで、半数近い回答者の8割が「知らない」と答え、約9割が事業継続に「賛成」したという。県の担当者としてはもの悲しい結果ではないか
▼のれんに腕押し、ぬかにくぎ―。何をしているのかは分からないが、それもあってまあ、反対はしませんわと言われているようで張り合いのないことおびただしい。同税のキャッチフレーズ「みんなで支えるみえ森と緑の県民税」は色あせている
▼平成26年の導入から3年後の同29年の県民周知度は3割だった。2年後の令和元年も横ばい。今回はさらに1割減ったが、同税評価委員会の事業評価度も、ABC評価で、Cが増えている。みんなで支えることをイメージする明るく親しみやすいロゴマークを税導入の翌年27年に作ったが、完成した事業の中に見当たらないケースもあるらしい
▼導入8年を経て「引き続き制度の周知に努めたい」という県議会常任委員会の県側答弁が場当たり的に聞こえるのは、1カ月前の同税評価委員会で「県民が事業を知らなすぎる」として事務局に善処を求める意見が相次いでいたからだ。ロゴマークやホームページ、SNSを使えばいいというレベルではない、という
▼「もう少し本当に工夫をして」という指摘は、おざなりでなく、本気で考えろということだろう。税の趣旨はいいが、実際の事業とのミスマッチは多くて対象も分かりづらい。国の森林譲与税との区別も不鮮明と言われてきた。「知らない」は、むろん県民のせいではない。