2022年10月5日(水)

▼一見勝之知事が年頭にぶち上げた「今年は人口減少対策元年」宣言が、いつの「今年」だったか、時々忘れる。確か推進本部を作ったはずだがと、ネットで1月5日の宣言から2月23日の同本部設立、5月30日の初会合というゆっくりした日程をたどる

▼就任1年目の節目でも語ることはなかったなあと、ぼんやり考えながら、初会合から4カ月を経過しての第2回会議の記事をみる。今年はもう1回ぐらい開くのかどうか。一見勝之知事は「人口減少対策に着手するのが遅すぎた」。開催ペースのことではなさそう。「現状は良いからと言っても、このままではまずい」。そう。のんびりした発信ペースでは忘れられてしまう

▼「地域間競争」などと過激な言葉が飛び出す半面、具体的には結婚支援や就労機会、育児休業、副業推進など、いつか見たことばかり。最も確実な対策という「希望を持てる社会への転換」も、理念の表明にとどまっている。要は、何をしていいか分からないか

▼人口増時代とは考え方も環境も変わっているから、増えた理由を数え上げて夢よもう一度と再現しようとしても覆水が盆には帰るまい。総務部長が体験から「特にカネがかかるのは高校と大学」と指摘したのは時宜を得た気がしたが、担当者が経済的な不安の詳細を調べると応じたのはおとぎの国を思わせる

▼人口増時代、子ども一人の諸費用は両親とそれぞれの両親、すなわち六人がかりと言われた。今や祖父母のスネは細り、懐は狭くなった。高齢化社会。医療費や保育料など、両親の対策だけで改善するはずはむろんない。