伊勢新聞

2022年10月4日(火)

▼三重とこわか国体・大会は中止になったが、同国体・大会の総合一位達成のために設けた県競技力向上対策本部は継続するらしい。期間は当面、愛知県中心に開くアジア競技大会の令和8年まで。明確なゴール設定がないまま「再び走り出した強化活動」というのが本紙『まる見えリポート』だが、軟着陸地点を探りながら、とりあえず今年度は踏み出したと言っているようでもある

▼コロナ禍が進む中で開催の道はあると言い続けて、知事交代を待っていたかのように中止。後続県との調整の形跡もない。背負い投げを食わせられた感の県民は多い。競技団体の「中止ありきだ」の声が「知事一任」の圧力にねじ伏せられた印象もある。仕組んだ段取りであってもなくても、疑惑のまなざしが集中する中で、県としても競技力向上対策本部や関連予算をすっぱり削減はできまい

▼スポーツ指導員配置事業、すなわち天皇杯獲得のためには県内に迎え入れられた選手らはある意味、県に肩すかしを食らって競技人生を狂わされた格好だが、活躍する選手もいる一方で、半数の30人は県を去った。競技に見切りをつけた人、次の国体要員として他県に移った人とさまざまだろうが、県の競技力向上のため、半数は残ったと喜ぶにはほろ苦い

▼3月のとこわか国体・大会実行委員会で一見勝之知事は次の順番を待つことなく国体誘致を目指すと重ねて表明した。まだ―、言い続けているしかあるまい。競技力向上対策本部継続に、関係者は「次の目標がないのにどうすればよいか」

▼知事の、県の、こわごわぶりが透けて見える。