伊勢新聞

2022年10月3日(月)

▼ムード歌謡が流行し、数多く登場してきたムードコーラスグループの一つに、テレビ番組が結成の理由を聞いていた。「単独では売れそうもないが、まとめたらどうかというので一緒にされた」という冗談交じりの答えに笑ったが、まったくない話ではないかもしれない

▼本紙『まる三重リポート』が一見勝之知事の就任1年を検証したのが先月末。知事と市町長との「円卓対話」のペースの遅さを指摘し、このままでは「全員との対談を終えるまでにあと1年を要する」。知事は、コロナ対策が忙しく「これ以上の加速は難しい」「1月に2回が精いっぱい」

▼リポートは「課題意識はなさそう」と書いたが、コロナ対策で思う県政を進められないというのは、おそらく知事の内心のいらだち。実は気にしていたのかもしれない。前葉泰幸津、末松則子鈴鹿、櫻井義之亀山の三市長まとめて「円卓対話」をした

▼「対話」の意味と矛盾し、苦肉の策の印象は付きまとうが、これなら同対話発想の原点でもあろう「円卓会議」と構成上近づく。単純計算で「あと3カ月ほど」で一巡もする

▼ムードコーラスは次々ヒット曲を飛ばしたが、3市長との対話はどうか。「3市における圏域作りについて」がテーマで、小児救急医療やリニアを含めた公共交通などの課題が挙げられたというから、まとめただけのことはある。知事も「令和五年度に県医療計画の見直しの中で考えていく」と政策らしきことを発信できた

▼得意の交通網整備に課題を引き込め、余計なことも言わずに済んだ。ひそかに「やはりまとめちゃった方が…」。